まほろば通信Gallery
いままでに何度か触れたことがあると思うのですが、私の中のヤマトタケル像は
吉井巌さんの著書のイメージをかなり強く受けているような気がします。
身分こそは一応「王子」ですが、後継ぎとして大切にされるわけでもなく、
ただ、大王の野心と領土を広める欲望のための道具として便利に使われるような…。
要するに出自やその他には無関係に、いつの時代にも同様の意図で権力者たちに
徴用されていく、無数の無名の若者たちの象徴でもあるのです。
だからこそ私は彼の悩みや戸惑いは、ごくごく普通の若者たちの
それと同様だという意識で見つめてきました。
愛するものに心を残して、戦に赴いた若者たちの像…。だからなにをどう描いても
「英雄」にはならないのも当然かもしれませんね〜 (^_^;) それでいいのだと思います。
「勝利」という形ではない幸福の形に気付いて、やがてはそれを真摯に求めていった
誠実な生涯を描ければなあ、と願ってきましたが、その方向性は私自身と重なるがゆえに
時を経るほどに形にするのが難しいものになっていくようです (^_^;)
私の夢の中で「私のものだ!」と叫んだ剣にはそのために流した多くの人々の血の涙が
含まれています。その痛みも罪も悔いも、
すべてを自分のものとして抱いていく決意の言葉だと思います。
当初のイメージでは背景は平和な古代の集落のつもりだったんですが、「なんか違う…」と
思ってしまったので、この季節に折々見かけることが出来る雲海が形になりました。
タケルが感じている高さを表現するにはこれがベストかもしれませんよね (^_^;)
ボツにした集落の風景はカットの中に再構成してみました。
まあ、雰囲気が出ていればいいと思います。実はかなり手抜きだったりしますので… (^_^;)