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 黄金(きん)の豊穣

倭武(ヤマトタケル)の天皇(すめらみこと)、相鹿(あふか)の丘前(をかざき)の宮に坐(いま)しき。

此の時、膳炊屋舎(おほひやど)を浦濱(うらべ)に構へ立て、はしぶねを編みて橋と作して、

御在所(みましどころ)に通ひき。大炊(おほひ)の義(こころ)を取りて、大生(おほふ)の村と名づく。

又、倭武の天皇の后、大橘比売命(おほたちばなひめのみこと)、倭(やまと)より降(くだ)り来て、

此の地(ところ)に参り遇ひたまひき。故、安布賀(あふか)の邑(むら)と謂ふ。

 

『常陸国風土記』

黄金の豊饒

常陸国風土記ではヤマトタケルは「天皇」と記され、

弟橘媛も健在で共に仲睦まじく東国で過ごしたように描かれています。

後世の編纂でもありますし、ただスター性に憧れてもろもろの事象を

タケルの功績になぞらえただけなのかもしれませんが、地名の由来などを見ていると、

やはりその地においてタケルが人々に愛されたゆえの伝承かなあ、とも思えてきます。

どこかに国創りの頃の神の姿も投影しているようです。

荻原規子さんの「白鳥異伝」の小倶那はここの地においての

イメージが大きいかなあ、と思っております。

 

常陸国風土記のイメージを頭の片隅に置いて描いた豊穣の秋の絵です。

自然の恵みの絵ですね。どうも私は秋の色というと金色を連想してしまうようです。

実りの稲穂の色でもありますし、色付く葉の色でもありますね。

葉が散る前の野山の色もやはりなんとなく金色のイメージです。

もっと秋が深まると紅い色に染まりますが。

微妙な葉や草の色の表現にちょっと悩んでしまいました。

媛の視線の先には多分タケルがいます。

 

今回は人物と背景、さらには動物、領布、カゴの中の栗やキノコなども

全部別に描いて合成するはめになりました。

きちんとしたバランスのサイズで描けない時はその方が手っ取り早いような感じですね。

でも着色してから合成してみたら、サイズを変える必要はほとんどありませんでした。

なにをやっているのやら。ただ手間かけただけのような気もしたりして…(汗)

でもそれが出来るのはCGの利点ですが。

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