古代日本Gallery

落日哀歌 --大伯皇女--
----あのときの後ろ姿が永遠(とわ)の別れになるなんて…
落日哀歌
うつそみの人になる我れや 明日よりは 二上山(ふたかみやま)を弟背(いろせ)と我が見む 磯の上に生ふる馬酔木を手折らめど 見すべき君が在りと言わなくに

20万HITのキリ番でリクエストいただきました大伯皇女です。

彼女のエピソードについては以前モノクロで伊勢を舞台に描いたことがありまして、

(2006年4月現在、Web拍手のお礼画像の中にその作品があります)

同じシーンをカラーで描き直すか、それとも…とかなり悩んでしまいました。

でも結局はこちら、挽歌の方にしてしまいました。

謀反の罪で死に追いやられた弟、大津皇子の物語もあまりにも有名ですが、

それには大伯皇女のこれらの歌が存在するから、余計に人々に共感を与えたのだと思います。

大津の死後、斎宮を退下して、彼女はひっそりと41歳で亡くなったといいます。

高市皇子とのロマンス説も含めて、薄幸のヒロインは

万葉集と古代史の中で今もひそかな光を放っています。

 

 

二上山を描くのなら、絶対に夕景だなあ、とずっと考えていました。

他にイメージが浮かばないのは入江泰吉さんの名作写真や

折口信夫の「死者の書」の印象が強いからかなあ、と思います。

古代の山の姿と現代のそれとが同じシルエットかどうかはわかりませんが、

おおかたは同じかなあ、と思って描いております。

馬酔木の花も細かい花なので、描くのはそれなりの手間がかかりました。

でもメイン画面では小さくなってしまったので、大きくカットに流用する私…(笑)

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