平安王朝Gallery

天離(あまさか)る 鄙(ひな)の荒野に君を置きて 思ひつつあれば生けるともなし ーーーーーーーーーーーー 万葉集 百(もも)とせの 花にやどりて過ぐしてき この世は蝶の夢にぞありける ーーーーーーーーーーーー 大江匡房
蝶の往く道
…そうして みんな光の中へ はるかな河を越えて 還っていくんだね…

蝶の伝承ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

世界各地にチョウが人の死や霊に関連する観念が見られる。

キリスト教ではチョウは復活の象徴とされ、

ギリシャではチョウは魂や不死の象徴とされる。

 

日本でも栃木県宇都宮市で、盆時期の黒いチョウには

仏が乗っているといい、千葉県でも夜のチョウを仏の使いという。

 

チョウを死霊の化身とみなす地方もあり、

立山の追分地蔵堂で「生霊の市」といって、

毎年7月15日の夜に多数のチョウが飛ぶという。

秋田県山本郡ではチョウの柄の服を好む者は短命だという。

「春に最初に白いチョウを見ると、その年の内に家族が死ぬ」

「チョウが仏壇や部屋に現れるのは死の前兆」という言い伝えもある。

 

奥州白石では、チョウが大好きだった女性が死に、

遺体から虫が湧いて無数のチョウと化したという話が伝わる。

また秋田県上総川の上流で、かつて備中という侍が沼に落ちて死に、

チョウに化身して沼に住み着き、現在に至るまで

曇った日や月の夜に飛び上がって人を脅かすという。

そのことからこの沼を備中沼、または別蝶沼ともいう。

 

Wikioediaより抜粋

 

 

 

東北関東大震災のあとですので、平常心に戻るのに随分時間を要しましたが、

自分自身も癒されつつ、慰霊の祈りも込めて描いた作品です。

 

上の国内の蝶に関する伝承も面白いですが、エリザベス・キューブラー・ロス博士が

アウシュビッツの収容所の壁に幻視したというのもたくさんの蝶でしたし、

中国にも「胡蝶の夢」の説話は有名ですよね。洋の東西や時代を問わず、

蝶というのは常に人の魂の象徴として見られていたようです。不思議ですね。

 

本当ならばもっともっとたくさんの数の蝶が必要なんですが、あまりに数を

増やしたくないという願いと、あと構図の関係もありまして、

今回の場合は最低限の数で描いております。種類も曖昧なものにしました。

 

 

 

一応、装束は鈍色(にびいろ)の喪の色です。

やはり基本は鈍色と白だと思いますので、五つ衣も地味な色合いになっております。

袴の色は「萱草色(かんぞういろ)」いわゆる「忘れ草」ですね。

哀しみや憂いを忘れるという、おまじない的な使われ方をしていたようです。

 

が、実際に描いてみますと萱草色って結構派手ですね(^^;)

草木染めだと思えば、この作品よりはいくらか彩度が低いのかもしれませんが…。

いずれにしても色ひとつに願いや想いを託した平安びとの心が偲ばれます。

 

 

 

 

このたび命を落とされた数多くの魂たちが、迷うことなく光のもとに

導かれていきますように…。祈りを込めて…。

 

 

 

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