平安王朝Gallery
天地の歌(あめつちのうた)は、手習い歌の一つで、すべての仮名を歌い込んだもの。
実態から言えば歌ではないので、天地の詞(ことば)という
呼び方の方が適切であるが、天地の歌で通用している。
文献上の初出は源順(みなもとのしたごう。911生-983没)の私家集である
『源順集』(平安中後期成立)所収の沓冠(くつこうぶり)歌。
上代特殊仮名遣のコの甲乙の区別は存在しないが、
ア行のエとヤ行のエを区別している点から、
平安初期(900年前後)の成立と見られる。
中国の千字文を意識して1行に名詞が4語並ぶように作られているが、
5行目で早くも動詞を使用するなど形式的にも破綻しており、
6行目は無意味な語の羅列になっているなど、
作品としての出来は決してよいとは言えない。
しかしながら、他に適当なものがなかったためか、
いろは歌が普及する平安後期までは、
もっぱら天地の歌が手習い歌として使用されていた。
「あめつち」「あめつちほしそ」とも。
「Wikipediaより」
いろはにほへと ちりぬるを
わかよたれそ つねならむ
うゐのおくやま けふこえて
あさきゆめみし ゑひもせす(きょう・ん)
色は匂へど 散りぬるを
我が世誰ぞ(※) 常ならむ
有為の奥山 今日越えて
浅き夢見じ 酔ひもせず(京・ん)
※「そ」は清音で読まれることもある(上代の音韻体系による)。
この絵を描きながら、平安時代の仮名文字を調べていて、
いろは歌以前に存在した手習い歌「あめつちのうた」の存在を知りました。
最初の方はともかくも、ほとんど暗号みたいですね。
そういえば「いろは歌」も暗号だと言う説がありましたっけ。
いずれにしても読み返してみると「いろは歌」の完成度の高さがわかる気がします。
ほかにも手習い用の歌はあったようですが。
この作品も例のごとくA3サイズの絵になっております。
アナログで線画を描いたのは結局花だけでした。
でもやはり縮小するとわからないだろうな、と思われますね(汗)
十二単のような線を描くのはかえってIllustratorの方が楽かもしれません。
五つ衣のかさねは「青紅葉」のつもりです。やや彩度を落としてありますが。
伝統色がこういうカラフルなものだったというのは面白い再発見ですね。
ちなみに花は秋の紫苑のつもりです。