平安王朝Gallery

北山の春 〜若紫〜
「雀の子を犬君(いぬき)が逃がしてしまったの。 伏籠(ふせご)の中に入れておいたのに」
北山の春ー若紫ー

教科書にも出てくるくらい、あまりにも有名なシーンなので、

いまさら解説は不要かとも思うのですが、光源氏が初めて

幼い紫の上(若紫)に出会う北山の春の場面です。

30万キリ番にリクエストをいただいたので、

改めてゆっくりと描かせていただきました。

 

尼君は姫君の幼さと行く末を案じて嘆きますし、

本当は笑っているシーンじゃないんですが、そこに到る前の瞬間に

ふと微笑んだ気がしてしようがなくて、こういう表情になってしまいました。

なんだかいとけない感じがとてもほほ笑ましく思えるのは

読者としての視点なのかな、とも思いますが。

リクエストは源氏の視点から、ということでしたので、

こういうのもありかなあ?という独自のアレンジが入っております。

 

「生ひ立たむ ありかも知らぬ若草を おくらす露ぞ消えむそらなき」 またゐたる大人、「げに」と、うち泣きて、 「初草の 生ひ行く末も知らぬまに いかでか露の消えむとすらむ」

馴染んだ場面でもいざ絵にするというと、結構謎が出てきます。

若紫の装束も山吹の襲なのか、衵なのか、はたまた袿なのか明記されていませんし、

(現代語訳でもいろいろあるし)尼君の装束もはっきりとしません。

青鈍色の袿という設定で、袈裟は白とうので描いてみました。

尼君なので、あまり派手なかさねはダメだなあ、と思いつつも甘草色とか、

よく出家した女性のかさねに使われている色を描いていたら、

微妙に朱色っぽい色も入ってしまったし…(汗)

 

「おばあさま」とはいえ、尼君は40歳居そこそこなんですよね。

だからあまり老けない感じにもしたかったし…。

女性が30代で孫を持つ時代です。平均寿命も40代くらいかなあ。

当時とすればすでに老域だったのか、と思うと複雑な心境になりますが…(汗)

 

でも幼い子供を描くのは本当に楽しい作業でした♪

源氏物語は本当に描き甲斐がある物語ですね。

機会があれば、また他のシーンもおいおいに絵にしてゆきたいものですね。

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