平安王朝Gallery

 野 分 (のわき)
野分
宮城野の本(もと)あらの小萩露を重み 風を待つごと君をこそ待て 天の原ふみとどろかし鳴る神も 思ふなかをばさくるものかは 読み人しらず

アメリカでハリケーンの大被害があったばかりなのにこういうことを書くのはなんですが、

子供の頃、台風が来るというと怖いのと同時に妙にわくわくした記憶があります。

災害は怖いけれど、日常がいきなり非日常の世界になることを余儀なくされるところが、

破壊と紙一重の再生を予感させるものだったからなのかもしれません。

まあ、心構えが出来る台風ならではですけどね。(地震はそうはいかない)

で、平安の世の野分の風もそういう非日常の空間を演出させる要素があるんじゃないかなあ、と。

一番に描きたいと思ったのが風に翻る御簾でした。

煽られた御簾の向こうに垣間見えるのは深窓の姫君か、ひそかに心を寄せる思いびとか…。

姫君をそっと盗み出すのならこういう日じゃないかと…ちょっとドラマの予感もありますね。

不安とともにどこか心が期待を持って騒ぐ風の日。

 

御簾と扇の線画はIllustratorで描きました。

几帳を初めとする背景と人物はいつものようにPhotoshopで。

あと萩も別に作成したので、全部で5つの画面の合成ですね。

Illustratorを使っても私の線はなんとなく手書き風になるような気がしますが、

その方が絵柄にはあっているのかもしれないですね(笑)

姫の袿の色が決まらなくて、3枚くらい袿のレイヤーを作って、

一番納得出来る色を選んだりしました。

毎回の悩みですが、それが結構楽しかったり(笑)

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