平安王朝Gallery

 木下闇 (このしたやみ)
 陽の祝福を受けた年下の恋人 訪れるのはいつも私のもとだけではない あなたを待つのは私だけではない あなたはあまりにも眩しすぎるから 同じ陽光の中に私は立てない 涙で引き止めることもできない そうするには私 もうふさわしい年頃ではないから… 光が強ければ強いほどに 影は濃く深くなる 影をさまよう私の魂 夢ならばいいのに あの人のあまたの女人のもとを訪れる夢など見なければいいのに …でも夢ならば 髪を洗っても消えないこの香りは 読経の声はあまりにも鮮やかすぎる この魂を閉じ込めてしまいたい 二度と迷い出ることのないように… そしてきっぱりとあなたのことを忘れてしまえたらいいのに
木下闇

煩悶する六条御息所

理性の強い人だけに おさえた分だけかえって強く生霊となってしまう哀しさ

より深く愛するゆえの苦しみ

もしも光源氏のもっと晩年に出会った恋であったなら

彼女もこんなふうに苦しまずにすんだのかもしれないけれど…

 

光源氏の女君たちに心を寄せるほどに源氏のことが

嫌いになっていきそうだなあ、と思いながら描いておりました。

彼のせいで不幸になった女人はいっぱいいそうで…。

でも当時の感覚ではそれも普通のことだったんでしょうね。

現代の感覚でいうと許せない所の方がいっぱいあるんですが(笑)

 

背景の花は箱根空木のつもりです。

人物と花と蜘蛛の糸はそれぞれ別に描いて合成しました。

平安の既婚女性を描くのはものすごく久しぶりなので、

さすがに緋の袴の色見本もなかったりして…。

もうちょっと大人っぽいイメージになるとよかったんですが、

六条さんくらいの年齢の美女を描くのは案外難しいですね。

やはり私の守備範囲は10代後半から20代前半くらいかなあ、と思い知らされました。

 

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