古代日本Gallery

 十 六 夜 (いざよい)
月読(つきよみ)の 光りに来ませあしひきの 山をへだてゝ遠からなくに 天にます 月読をとこまひはせむ 今夜(こよひ)の長さ五百夜(いほよ)つぎこそ
十六夜
あをねろに 棚引く雲のいさよひに ものをそおもふ歳のこのころ

「十六夜の月」という認識は万葉の時代にはまだ一般的ではなくて、

どうやら平安時代以降に広まったもののようです。

ですので万葉集には十六夜という言葉も出てこないはず…多分。

ですが、もともとは「一瞬のためらい」のことを

古語で「いさよふ」と表現したらしいのですね。

なんともゆかしくふさわしい言葉だなあ、と思いまして。

日没の後、少し時間を置いてためらいがちに現れる月というのが

日本人の心情に共感を呼ぶのかもしれないですね。

御簾の奥から眺める必要もない、女人がもっと自由な時代だった

万葉の頃を、あえて背景にしてみました。

それでまた好きな阮咸をモチーフにしてみたり…。

待つとはなしに気掛かりなのはやはり想いびとなのでしょうか…。

 

 

本当は十六夜の月はこういう眼にはっきりとわかるほどには欠けていないと

思うんですけどね〜(汗)まるきり満月にするのも気が引けますし。

人物と背景の庭、阮咸と領巾と、いつものように別に描いております。

別で描いて合成してちょうどいいくらいの重い画面でもありますし。

 

 

 

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